イチゴの紅葉

 今年の冬はイチゴの葉が紅葉した。例年、冬になるとイチゴの葉は古いものが枯れ、黄色から茶色に変色する。1株で2~3枚程度がそうなる。枯れた葉は雑菌等の繁殖を防ぐために取り除いている。しかし、今年は葉が枯れる前に紅葉した。どう見ても紅葉としか見えない。それも1株や2株ではない。130株植えたもののほとんどが紅葉しているのである。わずか数株は紅葉せず、従来の青々とした葉を維持している。

 この不思議な現象をそのまま見過ごすわけにはいかない。どうしても原因を突き止めたいという思いが強くなってきた。原因らしきものをいくつかピックアップしてみた。まず第一に、新規苗の購入である。わが家で育てているイチゴはすべて“宝交早生“である。その苗から毎年子苗を取り栽培している。4~5年それを繰り返すと病気が発生したり、実の付きが悪くなるようなことが書かれていた。そこで数株の新規苗を購入して、その苗からも子苗を取った(どの苗がその子苗かは定かではない)。大半の苗が紅葉しているところを見ると、新規苗の子苗だけが紅葉しているとは思えない。

 次に考えられるのは土の配合である。わが菜園の土は非常に粘土質で、水の浸透性が悪い。毎年プランター用の土に肥料を混ぜるときに、腐葉土や鹿沼土を混ぜて水の浸透性をよくしている。今年はこれらの代わりにもみ殻を大量に混ぜた。もしこれが原因であれば、すべてのプランターで同じ現象が出るはずであるがそうはならなかった。

 このようなことが起きると、いつも思うことがある。それは、常に作業の詳細や経過を克明に記録しておく習慣をつける必要があるということである。そうすればもっと簡単に原因を突き止めることができる。しかし、あまり簡単に原因が突き止められるのも面白くない。いろいろと悩み、考えることがまた楽しいのである、と思い直すことにした。

 何事も問題が発生すると、とにかく見ること、観察することが重要である。じっくりとそれらを見ていると違いに気が付いた。プランターの土はすべて同じ配合になっている。しかし、プランター単位で紅葉のあるなしが発生している。両者を見比べると、プランターの表面のもみ殻の量が違う。紅葉したプランターは土の表面にももみ殻を蒔いた。それらのプランターの葉が紅葉し、そうでないプランターの葉は従来通りの色をしているのである。これからすると、紅葉の原因は表面に蒔いたもみ殻ということになる。イチゴの紅葉について調べてみると、窒素が不足すると紅葉するというような表現があった。そうだとして、なぜもみ殻で窒素不足になるのかはわからない。もう少し調査を続ける価値がありそうである。紅葉した葉はその後枯れて茶色くなったので取り除いた。紅葉したプランターとしなかったプランターの株を比べると、明らかに葉の数が違う。紅葉した株は大半の葉がなくなり、非常にさみしい株になってしまった。

春になり暖かくなると、どちらも葉の数を増やし背丈も伸びてきた。それでも紅葉しなかった株の方が葉の元気はいい。紅葉しなかったプランターの方がやや実の付き具合はよかった。しかし、これはイチゴの株個々の問題かもしれない。実のよく付く株があったからかもしれない。株の数が少なかったこともあり、一概に断定することはできない。この程度の差なら、紅葉を楽しめてコンパクトに育てられる紅葉の株を作ったほうが楽しみが増える、という結果に至った。

<イチゴの紅葉>

 

<イチゴの紅葉>

 

<紅葉ありとなし>

 

<その後>

 

<紅葉ありの実付具合>

 

<紅葉なしの実付具合>