朝顔
先日、ホームセンターへ買い物に行ったついでに、園芸コーナーに立ち寄った。夏の暑い時期に、涼しげで気持ちがリフレッシュされるような花がないかと見回っていると、朝顔の苗を見つけた。小学生のとき以来の花である。もっとも簡単で育てやすく、絵日記に最適な花である。今でも夏休み前になると、お母さんに連れられて朝顔の鉢植えを持ち帰る姿をよく見かける。おそらく夏休みの課題で、絵日記を書くのだろう。植物育成の入門コースを代表する花である。
朝顔を1鉢購入し、アトリエのトユから吊り下げたチェーンに上らせようとその近くに置いた。最初の頃はまったく成長せず、このままではとてもチェーンの最上段までは上れないだろうと思っていた。ところが、ある日を境に急に成長が始まり、あっという間に上段に達し、途中から子ズルが出て、にぎやかなツルに育った。その後はひさしの上やのれんの支持材にも広がった。それでも花はまばらで、1日に1つか2つ咲く程度であった。昼前には萎れて、名前通り朝だけ咲いていた。夏になると急に花が次々と咲きだし、毎日多くの花が咲くようになった。夏が終わり少し涼しくなると、さらに多くの花が咲き、昼を過ぎてもまだ花が開いている。朝顔でありながら、「昼顔」を過ぎ「夕顔」と呼べるほどになっている。さすがに夜は眠いのか半開きの状態である。夜は誰も見ていないので咲く必要もないか、といったところか? ということで、ほとんど1日中咲いている。
とにかくものすごい数の花が咲く、花の数は数えていないが数百は咲いたと思われる。とにかく落下した花がらの数がものすごい。冬になり、広葉樹が葉を落とすような感じである。ツルの下近辺には茶色くなった花がらが無数に落ちている。何度も掃除はしているがすぐにこの状態である。これは明らかに品種改良されたものであろう。これだけ多くの花が咲いても、実が付いた花は数個であった。以前このコーナーで書いた「F1」であると思われる。種は採取して大事に保存しているが、発芽するかどうかは不明である。もし発芽するとなると、これはこれで大変なことになる。10個程度の種がすべて発芽したら・・・、恐ろしいほどの花が咲くことになる。アトリエは朝顔に覆われ、朝顔屋敷になること間違いなしである。
花が多く咲けば、それを見るだけで気持ちのいい朝を迎えられるが、それがいつまでも続くと今度はその異常さが気になりだす。もし、ソメイヨシノが3か月も咲き続けたらどう感じるだろうか? 木の下には花びらがびっしりと落ち、やがて変色しゴミと化す。想像するだけでげんなりである。ソメイヨシノは、開花期間があまりにも短いというところにその良さと欠点がある。春になり、開花の期待がふくらむと同時に、開花中の雨で散ってしまうという失望感もある。これとは違って、大きな期待も失望も抱かせず、さらりと快適さを提供するにはどうするか? すべてのものに共通する快適さとは、「適当」で「ほどほど」が一番ということになるのかもしれない。
<ピンクのきれいな花>
<どんどん上へ>
<上限でUターン>
<枯葉のような花がら>