前回の「石臼」で、重厚さを増したわが家の玄関口を紹介した。その重厚さが季節の変化とともにみっともなさに変わってしまった。
ものを設置するということは、その後の維持管理もセットで考えなければならない。その点を失念していた。今が良ければという発想でこれを設置した。しばらくすると水が汚れ、色が変わってきた。夏になれば石に緑色の藻が付着し、同時にボウフラが大量に発生した。蚊による伝染病におびえなければならない。これはまずいので早く何とかしなければならない。そこで思いついたのが漂白剤である。これを適量流し込むだけで、藻は消え、ボウフラも一掃することができた。これは素晴らしいアイデアだと自負していた。ところがこれもしばらくで、秋を迎えるとまたも問題が発生した。木が大量の葉を落とした。毎日の清掃が大変である。さてどうしたものか。
ある日、ホームセンターをうろついていると、太陽光で充電できるLEDライトを見つけた。暗くなると自動で点灯し、動く物体を検知すると明るさが増すというライトである。早速これを購入することにした。これを石臼に入れ、上からカバーを付ければ常夜灯になる。ここまでのアイデアはよかったのであるが、何でカバーをするかが問題である。光を通さなければならないが、中が見えてもいけない。
偶然とは恐ろしいものである。室内の蛍光灯が故障したので、LEDの照明に替えることにした。取り外してみて、そのカバーの大きさに衝撃が走った。これを石臼のカバーにしよう。寸法を測ると、驚いたことにぴったりである。ライトを石臼に入れカバーをする。あとは周りが暗くなるのを待つだけである。その時間が非常に長く感じられた。ようやくあたりが暗くなってきた。ぼぉーと微妙な明るさで点灯した。常夜灯として最適な明るさである。しかし、ここでも問題が発生した。フル充電でも1晩半(冬季)程度しか持たないので、雨や曇りの日が続くと充電不足で点灯時間が極端に短かくなる。何とか充電効率を上げようと石臼内にアルミホイルを張った。よく乱反射をするようにクシャクシャにした。しかし、この効果は定かではない。
わが家へ来てから変遷の多い石臼であるが、どうやらこれが最終形態として受け入れられそうである。これなら1年中違和感なく存在をアピールできるだろう。