家庭菜園の危機

 毎年家庭菜園を楽しみ、今年で15年目を迎えた。四季を通じてホームセンターで多くの栽培品種を購入している。ここ数年気がかりなのは、栽培品種の不適合割合が多いのではないかということである。不適合品種という表現には説明が必要だろう。トマトを例にすると、成長し実を付けるのであるが、実が本来の色にならないのである。真っ赤にならず、オレンジ色が濃くなったような赤色程度、皮が異常に堅い、等である。スイカの場合は、順調に育ち実を付けるのであるが収穫にいたらない。なぜ収獲にいたらないのか? 実が大きくなり収穫間近になると、決まって実が割れるのである。ナスビは花が咲かなくなり、咲いても実を付けないことが多くなった。イチゴは収穫後ランナーを伸ばし子苗が付き始める。それらをポットに誘導し子苗を取る。7月ごろになると、親株も子苗を元気がなくなってくる。8月になると枯れる苗が増え、2割程度しか残らない。

 これらに共通するのは気温の上昇である。連日35℃を超える日が続いている。おそらくスイカの実割れは、温度が上がりすぎて、内部が膨張することで割れるのではないかと思われる。対策として日中の直射日光を避けるために遮光ネットを掛けた。スイカの原産地は南アフリカのカラハリ砂漠となっており、高温には強いはずであるが・・・。日本で改良され、皮が薄いものが多くそれも原因かもしれない。

 家庭菜園で栽培される野菜は、日本の気候に適するように改良されているが、ここ数年でその傾向が著しく変わってきたように思う。さらなる高温に対する適応能力が必要であるように思う。日中の最高気温だけでなく、熱帯夜にも対策が必要ではないだろうか。昼夜の寒暖差がなくても育つような品種改良が必要だろう。高温対策を十分に施し、なおかつそれでも味が落ちない改良品種が待たれる。

 異常に高温になった日本の夏でも、まったく変わらず活動している品種がある。変わらないどころか、さらにパワーアップしているかもしれない。それは雑草たちである。少々の高温や水不足ではびくともしない。むしろそれを刺激にして、自らをさらに進化させている感さえある。家庭菜園を行っていると思っているつもりでも、世間から見れば雑草を栽培しているように見えるかもしれない。暑い日が続き、日中だけでなく朝夕でも菜園内の手入れができない。それが雑草の成長を助長することになっている。農作業は熱中症になる原因の上位になっている。日中に菜園作業をしていると、世間からは否定的な視線で見られる。

 炎天下の日中に、雑草に埋もれて倒れていたのでは笑えない。今後、真夏の家庭菜園の在り方を模索していく必要がある。