メロン

 わが家庭菜園の懸案事項としてメロンの栽培がある。家庭菜園を始めてから15年目になるが、一度としてメロンがまともに育ったことがない。原因はいろいろある。ツルが成長せず、1m程度になると先端がしなびたようになり枯れていく。あるいは実がまったくつかない。ツルの成長よりもウリハムシが食べる方が早い、等の理由である。ホームセンターの苗売り場でいくら厳選してもダメである。ツルが一定の大きさに成長するまで、ネットをかけてウリハムシに食べられないようにしてもダメである。すべてがうまくかみ合うことがない。結果として、全く収穫がないことや、ピンポン玉程度の大きさでツルが枯れることが多い。ここまで不作が続くと、メロンとわが菜園の土との相性が気になってくる。土の酸度や肥料の具合を調べてみるが特に問題があるようには思えない。しかし、メロンが育たないのである。

 このようなことが5、6年続いたのでメロン栽培を行っていなかった。夏の定番といえばスイカ、メロン、ブドウである。スイカとブドウは問題なく育っている。このことからしてても自然条件が整わないということは理由にならない。メロンだけがどうしても育たない。ホームセンターの苗売り場には、おいしそうなメロンの写真が付いた苗が売られていた。これを見るとどうしてももう一度栽培してみたくなった。意を決して苗を購入した。今までの実績から、スイカが優先的にいい場所を占有する。実績のないメロンはどうしても隅に追いやられる。何とか菜園の中央部分に組み込めないか? 思案投げ首、考え込んでいるといい案が浮かんだ。立体栽培である。トマトの根本に植えるのである。トマトは上へ伸び実を付けるので、地表にツルが這っていても問題ない。メロンは広々とした地表を好き勝手に伸びることができる。とはいっても、隣はピーナツを栽培しているのでそちらには伸ばせない。トマトの木に沿って伸びることになる。メロンは孫ズルに雌花が咲くので、ツルの先端をどんどん摘心していく。毎年これができない。ツルが伸びず孫ヅルにまで到達しないのである。子ズルが精いっぱいのことが多い。

 何が良かったのか? 雌花のほとんどすべてが実になった。こんなことは初めてである。しかし、これらが育つかどうかは疑問である。それよりもこれだけ多くの実をすべて育てるわけにはいかない。植物にもそれらに見合った力量というものがある。ツルの成長具合から見て最大で5個程度であろう。これ以上実をならせると、小さくて甘味に欠けるものになるだろう。心を鬼にして小さな実を間引いていく。

 実は日に日にどんどん大きくなっていく。しばらくすると、メロン特有の甘い香りがただよい始めた。近づくとさらに香りが強くなる。早く食べたい気持ちを抑え、最良の収穫時期を見定める。香り、肌触りが最高の時を見計らって収穫した。味はいうに及ばず、その香りも最高である。初めてわが菜園で満足のいくメロンが収穫できた。今年は記念すべき年である。

 しかし、ここでも思案投げ首。何が理由で美味しいメロンが育ったのかわからない。

<大きくなれよ!>