トマトの防御作戦

 家庭菜園での人気ナンバーワンはトマトであろう。簡単に作れておいしいからである。ミニトマトであればプランターでの栽培も可能である。トマトといえば赤というのが定番であるが、ミニトマトではいろいろな色が出ている。多いのは黄色、珍しいのは紫や緑色である。いろいろな色のミニトマトを栽培してみたが、やはり定番の赤がいい。それと甘みが若干強い黄色もいい。

 毎年ミニトマトの苗を7,8本植える。5月の連休ごろに購入し植えるが、なかなか成長しない。気温が髙くなりだすと一気に成長を始める。花が咲き、葉の付け根から脇芽が次々と出てくるのでそれらを処理する。トマトの木は自立できないので、支柱やネットでそれを支える。一通り作業を終えると、どういうわけか手が緑とも黒ともいえないような汚れ方をしている。決して汚れたものを触ったわけではない。触ったのはトマトの木や葉である。実を収穫している時も同様に手が汚れる。

 毎年この変な事象は気になっていたのであるが、深く追求することもなくやり過ごしていた。ところが今年は暑さのせいで気が滅入っているのか、いら立っているのかはわからないが、非常に気になりだした。そして調べてみるたが、学術的な見解が見当たらない。この汚れの原因を分析し、科学的にどのような効果があるのかを示したものがない。しかし、家庭菜園で栽培したことのある人は、すべてこの現象を知っているものと思われる。これほど手が汚れるにもかかわらず、それを食べて問題が起きたということを聞いたことがない。もちろん市販されているわけであるから、問題ないのであろうと思われる。

 家庭菜園で木や葉を触って手が汚れるという植物を知らない。実を取ったり、傷つけたりすることで白い液体を出すものはある。イチジクやサツマイモ、レタスである。この液体が付くと落ちにくくねばっこさが続く。トマトの汚れは水洗いでも落ちるが石鹸を使用すると簡単に落ちる。がしかし、その色にビックする。きれいな黄色になるのである。おそらく石鹸の何らかの成分と反応しているのであろうと思われる。

 植物も動物も何の意味もないものを放出することはない。そのような無駄をすることがないと思い込んでいる。必要のないこと、無駄なことをするのは人間だけである。トマトを触って手が汚れるのはおそらくトマトが自身を守るためにそうしているのであろうと思われる。したがって、この成分は虫や動物にはあまり歓迎されないもののように思う。

 というわけで、トマトは無農薬であってもよく洗って食べるのがベストだと思う。