コーンが全滅

 最近のトウモロコシは恐ろしいくらい甘い。砂糖水に浸けたのかと思われるくらい甘い。日本人が甘いものを好むので、それに合わせた改良の成果だろう。先日、ポップコーンを作りたくて、その品種の種を探したが売っていなかった。すべてがスイートコーンであった。トウモロコシは特殊な植物で、スイートコーンの中に1本でもポップコーン用の甘くない木があると、その花粉がかかった実は本来のスイートコーンにならないのである。トウモロコシを植える際は、すべて同じ品種に統一するというのが原則である。

 わが菜園でもこのスイートコーンを植えた。トウモロコシは他家受粉であるため、1本では受粉しない。数本を固めて植える必要がある。一気に10本植えれば受粉は確実であるが、収穫時期が同じなので食べきれない。4本程度が無難というところに落ち着いた。

 日に日に成長し、てっぺんに雄花が咲いた。ちょっと遅れて数本の雌花が出てきた。大きく立派なトウモロコシにするため、最上段のもの以外はヤングコーンとして収穫する。徐々に実が膨らみだし、軸からニョッキと飛び出し、上部には薄黄緑色のめしべが大量に出ている。この1本1本が実につながっている。これらがすべて受粉しなければ歯抜けになったようなトウモロコシになる。おしべに花粉がたっぷりと溜まったころを見計らって、木を揺らし花粉をばらまく。すべてのめしべが受粉することを願って、4本の木を順番に揺らしていく。あとは各自が実を十分に膨らませてくれる。これでおしべの役割は終了である。虫害を防止するために雄花を切り取る。

 実が徐々に膨らみ、十分に収穫できる程度になってきた。トウモロコシ全体の大きさはわかるが、その中の実がどの程度膨らんでいるかは見えない。皮をはぐわけにもいかずもどかしい日々を悶々とする。スーパーでトウモロコシを売っているが、すべて先端のめしべを切り取っている。そんな中、めしべを切り取っていないトウモロコシを見つけた。先端にあるめしべの色をしっかりと記憶して帰った。

 わが菜園のめしべはまだ色が薄い茶色である。収穫までにはもう数日かかるようである。毎日わずかずつではあるが、色が濃くなってきた。そろそろそれらしい色合いになり、明日収穫することに決めた。朝、菜園を見てびっくりである。トウモロコシの木がすべて倒されている。引き倒したのではなく、所どころをかじって倒している。実はすべてきれいに人間が食べたように食べつくされている。実の付いた芯の部分はかじっていない。実だけを取って食べている。見事としかいいようがない。トウモロコシを知っているだけでなく、食べごろの時期まで心得ているとは・・・。

 これはおそらくハクビシンかタヌキの仕業だろうと思われる。わが菜園での獣害は、かつてスイカとトマトが被害を受けた。今年もスイカとトマトは栽培しているが、時期がまだ早いので被害は逃れた。トウモロコシ4本をしっかりと腹に収めて撤収していったのだろう。

 味を知ったからには再度の訪問は十分にあり得る。スイカとトマトを守るためにしっかり防御策を練ろう。

<がっかり!!>