アリパワー(その2)

 アリパワーについては前回にも書いた。イチジクをあっという間に平らげた話である。今回も同様にアリの持つ不思議なパワーについてである。

 わが菜園と相性の悪い植物はメロンである。いろんな種類のメロンの苗をホームセンターで購入して植えるのであるが、一度として食べられる実が付いたことがない。まったく雌花がさかない、あるいは実が付いても大きくならない等、食べられるところまで育ったことがない。ところが今年はどうしたことか、ツルがどんどん伸び、あちこちで実が付いた。あまりにもうれしいので、付いた実をすべて収穫しようと試みた。その数12個。1本の苗で12個は絶対に無理である。せいぜい3、4個というところである。しかし、あまりにもツルに勢いがあるので挑戦してみた。

 結果はすぐに現実のものとなった。7月中旬になり、猛暑続きとスコールのような雨の後、ツルの勢いがぱったりと止まってしまった。そればかりかツルの一部が枯れ始めた。こうなると一気にツルの勢いは衰え、あっという間に枯れてしまった。すべての実が完熟手前である。メロンは、収穫後も追熟させることができる。しばらく放置することで、追熟を試みた。通常のメロンまではいかないまでも、どうにか糖度を8度まで上げることができ、水分補給用としては十分な役割を果たせるまでになった。そんなメロンをタッパに入れて冷蔵庫で保存した。

 庭で皮をむき、皮は乾燥させてまた菜園に肥料として戻す。皮を乾燥させるために炎天下の庭のコンクリートに広げていた。30分後に再度そこを通ると異変が起きていた。メロンの皮の一部に黒い点々がびっしりと付いていた。アリである。わずか30分でどうやってこれを見つけ、どうやって仲間に知らせたのか? 炎天下のコンクリート上を、何のためらいもなく歩くことができるということ自体が不思議である。そしてこれだけの数のアリがどこにいたのか? 呼びに行ったのか? それとも全部が自力で匂いをたよって集まってきたのか? とにかくすべてがすごいアリパワーである。わずか糖度が8度であってもアリにとっては十分なのだろう。この程度の糖度でこれだけのパワーが生まれるのである。タッパにいっぱい詰まったメロンを食べれば、果たしてどれだけのパワーが生まれるのか? 想像するだけでも恐ろしい。

 普段目にするアリはわずかであるが、地下には恐ろしいくらいのアリが生活しているのだろう。そして何か事があると、一斉に集まってきて黙々と作業をこなすのである。タッパに入れたメロンを奪われないように、素早く冷蔵庫に入れて翌日のパワーにできるようにしておこう。いつでもアリと対等に戦えるようにしておかなければならない。

<わが家初のメロン>

 

<どこから来たの?>