12.ウエアラブル端末
最近よく耳にする言葉にウエアラブル端末というのがある。身に付けて持ち歩くことができる情報端末の総称である。メガネや腕時計タイプのものが一般的である。そのようなものとは縁がないと思っていたが、実はそうではなかった。運動をしていると、いろいろとそのような機器の情報が雑誌を通して入ってくる。ウエアラブル端末とは別物であるが、ロードレーサーに乗っていると、サイクルコンピュータというものは是非もので、これをハンドル部分に取り付けて使用している。これには、時速は常時表示されており、それ以外には走行距離、平均速度、走行時間、最高速度、消費カロリー、CO2消費量、積算距離、時刻があり、これらは切り替えることで表示することができる。最初の頃はそのようなものがなくても十分だと思っていたが、いざ使ってみると非常に重宝する。今ではこれがなければ練習が成り立たない。これと同様に、ウエアラブル端末というものもそれなりに価値があるのではないかと思い始めた。情報を収集し、大手電機店で説明を聞く。即決である。しかし、そこからが大変である。PC、スマホ等の電子機器を使いこなすのが大変なのは重々承知である。これもご多分に漏れず電子機器である。本体は10cm四方の箱に入っているが取扱説明書はない。それもそのはず、取扱説明書はA4用紙で62頁ある。もちろんインターネットでダウンロードする。カタログでの表記は〇〇、△△、××等の機能があり、〇△、〇×、□△ができます、となっているだけである。問題はどうすればできるのか、ということである。取説には、IT用語としてもスポーツ用語としても聞き慣れない、見慣れない言葉が羅列されている。ここからスタートである。まず取説全体に目を通し何がどこに書かれているかを確認する。そこから自分が使いたい機能をどうすれば実現できるかを調べ、各種センサーを設定していく。購入後数日間は時計としての機能しか発揮していなかった。この間は非常に高価な時計であった。
このウエアラブル端末で表示できる機能は、歩数、移動距離、消費カロリー、心拍数、着信通知、メッセージ通知、通話通知、ミュージックコントロール、天気予報、高度、気温、カレンダー、GPSによる位置情報、移動時の地図作成、防水:水深50mの耐水性能、その他書ききれないほどの機能が含まれている。歩数や心拍数、移動距離等はグラフ表示してくれる。もちろんPC、スマホと連動しており、データはクラウドでの保存であるから共通のものをいつでも使用できる。
これがどれほどの機能を発揮するかを六甲山ヒルクライムで検証してみる。今までは、坂を上りながらNo.XXXコーナーあたりが最もきつい。No.△△△からNo.〇〇〇コーナーあたりまでを乗り切れば少し楽になる等、経験で上っていた。どの程度の勾配で、どのくらいきついのか? といったものはすべて感覚でしかない。具体的な数値というものがない。このウエアラブル端末を使うことで、今まで感覚でしかなかったものがすべて数字で表すことができるようになった。最も分かりやすいのが心拍数である。スポーツクラブのエアロバイクで強い負荷をかけた時の心拍数が160程度である。六甲山ヒルクライムでの平均心拍数は157、最大が176となっている。つまり、上り始めて15分程度は150を下回っているが、その後はほとんど最高負荷の状態で上っていることになる。このきつさは数字で十分すぎるほど表されている。また、坂の勾配と速度、心拍数の関係も面白い。この心拍数を見る限り、途中で手を抜くこともなく、真面目にコツコツと上っていることがわかる。それにしても本格的な勾配が始まる4km過ぎからは恐ろしくスピードが出ていないのがよくわかる。時速6~7kmである。通常このスピードで平地を走り続けるのは遅すぎてかえって難しい。上り始めてしばらくすると、速度の数値が跳ね上がっているのは下り坂があるからである。地図上にカーソルを置くとその地点の各数値(標高、速度、心拍数、気温)(※1)がわかるのがありがたい。有酸素運動、無酸素運動についても表示してくれる。この有酸素運動でのコメントには、「このアクティビティは非常に激しい内容でした。VO2Max.は大幅に向上しますが、回復時間を十分に取らないと体に害を及ぼす可能性があります。無理せず取り組んでください」と、涙が出そうなくらい気をつかってくれている内容が書かれていた。あまり気をつかわせてはいけないので、しばらくは六甲山ヒルクライムを休止することにしよ! ヤッター!!
※1:今回の測定ではケイデンス(ペダルの回転数)の表示が欠けてしまった。これも表示できれば面白かったと思われる。スピードが出ていない割りにペダルがくるくると回っているのがよくわかったはずである。