スイカの種
夏の暑い時期にスイカが収穫できる。非常に美味しいしありがたい。菜園作業でたっぷりと汗を流すと、喉がからからに乾き水をごくごくと飲みたくなる。この水代わりにスイカを食べるのである。以前は休憩時にのどを潤す程度を食べていた。冷たさと甘さがちょうどいいのである。水代わりとなると、小玉スイカであれば、半分くらいは食べることになる。冷蔵庫でキンキンに冷やしてもいいが、水代わりにがぶがぶと食べるのであまり冷えすぎると体に良くない。ということで、洗濯機に井戸水を入れそこにスイカを数時間浸けておくのである。この冷え具合が最も体に優しいように思う。
さて、いい塩梅に冷えたスイカを食べるためには切らなければならない。どのように切るのがいいか? スイカの軸を中心に放射線状に船形に切るか、あるいは四等分したものを垂直に3cm幅で切り三角形にするか? これは食べやすさに関係する。前者は皮に近い部分の幅が広くなるのと、食べ進めていくと三日月状になり、顔を突っ込んでいかなければならない。マスクを着けるときのような状態になる。これは非常に食べにくい。それと同時に、種の部分に達するとずーーと種の部分(種は同心円状に分布しているため)を食べなければならない。これはかなりきつい。一口口に入れた中から、果肉の部分と種の選別をしようとするのであるが、種が多すぎてこの作業ができない。たまに種をガリっとやる。種を吐き出そうとすると一緒に果肉も飛び出す。これに比べると、後者の場合は同心円に並んだ種の数が少ない。皮に近い部分も幅が狭いので食べやすい。見た目は前者であるが、食べやすさの面では後者である。
スイカを食べる楽しさは、種を吐き出すときにある。種をあたりかまわず、ぺっ、ぺっ、ぺっ、と吐き出すところに醍醐味がある。新聞紙や皿に吐き出したのでは美味しさに限界がある。そう思っているので、コンクリートの庭にあたりかまわず種を吐き出した。小玉スイカを半分食べ終わって辺りを見回すと、その量の多さにびっくりである。種が多く集まったところを踏むと、滑ってしまうくらいである。これはまずいということで、急いでホウキで集めてゴミ箱へ捨てることとなった。ほんのわずか食べる場合は庭へ吐き出してもいいが、水代わりにがぶがぶと食べる場合は考えものである。ひょっとして、種の多い品種のスイカだったのかのかもしれない(注1)。これでは美味しさは半減である。
これ以降、この小玉スイカを食べるときは、ブドウ棚の下へテーブルと椅子を持ち込んで食べるようにしている。ここだと辺りかまわず種をまき散らせる。ブドウの葉がよく茂り、いい木陰になっている。ただ、蚊取り線香は必需品である。スイカで水分を補給している間に、蚊はしっかりと血液を補給するからである。
ところで、これだけ多い種であるが、いったいいくつくらい存在するのであろうか。あまりにも気になったのでその数を数えてみた。美味しさが半減した理由がわかった。その数584個である。かみ砕いたもの、飲み込んだものを合わせると600個は超えている。一度に半分食べると、300回種を吐き出すことになる。これはかなり無駄な作業である。これだけ暑い夏になると、スイカは水代わりになってしまう。次回からは種なしスイカを植えることにしようと思う。
注1:同時期に購入した苗の小玉スイカ(赤)は、種の数が少なく非常に食べやすかった。
<食べやすさはこれ!>
<見た目はこれ!>
<ぜーんぶ種!>