トートバッグ

 これは皮のトートバッグである。写真はリュックバージョンにした時のものである。トートバッグにもいろいろとあるが、革製でやや縦長、上部が広がっているもの、というのが希望であったが見つからなかった。まして、内部のポケットの大きさや数に関しては、全く要求に沿うものはなかった。そうなれば作るしかない。気に入った形状になるまで、型紙を切り貼りする。ようやくできた型紙で皮に形状を写し取る。これで済むのであれば簡単である。問題は縫い代である。側面、角、合わせ目等、どのようにするかで縫い代が変わってくる。そのたびに型紙を修正しなければならない。わからなくなると現物を見るためにかばん屋へ出かける。あまりにも熱心に見ているので、店員が説明にやってくる。売るための説明をされても全く興味がない。作るための説明が聞きたい。そこで、角はどのように縫うのが丈夫なのか、側面は縫い目を出す方がいいのか、出さないのがいいのか?等々。あくまで売ることが目的の店員は、全く聞く価値のない適当な返答を繰り返す。適当に聞き流しながら、目的の縫い方をしっかりと記憶していく。そこで得た情報をもとに、縫い代を加味した型紙に修正していく。しかし所詮、素人である。思わぬところで"抜け"が生じる。この抜けが後で苦戦を強いられる原因となる。うまく帳尻を合わせるための苦労がここで出る。縫い代が足らないのは最悪である。余るのはいい。余れば切り捨てればいいからである。結局、パッと見にはいいが、じっくりとみるにはちょっと耐え難い代物が出来上がる。しかし、使い勝手はすこぶるいい。重いものを入れて持ち歩くこともあるので、急遽、リュックバージョンを追加した。ちょうどうまい具合に、"BREE"のリュック用の肩紐があった。これを流用しての追加加工となった。見た目には何の違和感もなく使用できる。最高の出来である。

 意外と軽視されているのが内部ポケットである。よく、電車の中でブランド品のトートバッグを持ち、中をごそごそ、ごそごそとしているのを見かける。ようやく目的の品を取り出してほっとしている。それほど使い勝手が悪いものをよく持っているなと思うが、当人にとっては苦にならないのであろう。バッグに入れるものはたいてい決まっている。それなら、それらが入るポケットを、必要な位置につけておけば探す必要がない。これだけでとんでもなく使い勝手がよくなる。形状、機能性、堅牢さとそろえばもう無敵である。今日も無敵のバッグとともにお出かけである。