その9
<9-1>脳は平気でうそをつく(植木理恵)
初対面の人同士で話をさせ、「そろそろ話が尽きてきた」というシグナルが体のどこから発せられるかを調べた実験があるのだ。何組もの実験を行ったが、2分過ぎからどの組み合わせでも足が動き始めたのである。
<9-2>浅田真央はメイクを変え、キム・ヨナは電卓をたたく(生島淳)
フィギュアスケートは選手の才能や技術だけでは勝てないことがわかる。勝てるプログラムを作ること。これが重要なのだ。いま、フィギュアスケートは戦略をもったコーチの存在がいつになく必要とされていることになるのだ。
<9-3>すでに始まっている未来(江坂彰)
情報化社会は競争時間が短い。ものにもよるが、成功も短命化する。ビルゲイツはよく言っている。「自分は未来永劫に勝つ」と。ただし彼のいう未来永劫とは、5年のことである。
<9-4>勝負心(渡辺明)
将棋には5手が一組で、また次の手も5手で一組ということがあって、それも含めてパパッと読んだら、すぐに20~30手ぐらいになる。持ち時間が10秒もあれば、単なる「勘」で指すことはしない。プロ棋士は、10秒であっても、「読む」。
<9-5>3年で辞めた若者はどこへ行ったのか(城繁幸)
最近の若者は・・・という人たちは、その程度の学生にしか相手にされていない、という言い方もできるでしょう。
<9-6>会社分割(後藤孝典)
労働承継法の骨子を要約しておきましょう。甲会社のなかに、A事業とB事業があるとしましょう。いま、甲会社はB事業を会社分割によって設立する乙会社に承継させようとしているとします。この場合、「甲会社の従業員で、B事業に従事していたbについて、bがいやだといわないかぎり乙会社に移籍させなければならない。A事業に従事していたaについては、aがいやだというかぎり乙会社に移籍させることはできない」というのが骨子です。
<9-7>老いない体をつくる(湯浅景元)
食事で体内に取り込んだカルシウムを骨の中に十分に吸収させるには、骨に大きな力を瞬間的に加えることが必要です。
<9-8>世間のウソ(日垣隆)
刑法でいう暴行、傷害、致死罪は、家庭の中では許される、などとはどこにも書かれていません。許されると明記されているのは窃盗だけです。
<9-9>辛坊訓(辛坊治郎)
言葉は花束にもなればナイフにもなります。本当のナイフなら、持った瞬間に使い方がわかります。また、もしそれで人を傷つけたら何をしなくてはいけないかも認識できます。言葉も初めから武器として使うのなら覚悟が生まれます。ただ恐ろしいのは、本当のナイフと違って、言葉は自分にそんなつもりがないのに勝手にナイフに化けて相手に突き刺さることがある点です。この場合、自分に「ナイフを使った」という自覚がありませんから、フォローもできません。発言者に認識のないまま、相手の心の中に深い傷を残し、その傷が何かのときに、相手に「ナイフ」を振り上げさせることに繋がるんです。
<9-10>オンリーワンは創意である(町田勝彦)
1915年には、「早川式繰出鉛筆」を考案し、日米の特許を取得した。いわゆる、シャープペンシルだ。これが、極細芯の近代的な筆記具として大ヒットし、早川兄弟商会が設立される。「早川式繰出鉛筆」は改良が重ねられ、名称も「エバー・レディ・シャープペンシル」、「シャープペンシル」へと変り、シャープの名称の由来となった。
<9-11>腕時計一生もの(並木浩一)
自動巻きを選択するのが妥当と言うことになるはずなのです。と言うのも、自動巻きは手巻きの欠点を補う技術革新として誕生した経緯があるからで、これは筋の通った話のはずです。ポケットウォッチの時代にブレゲやペルレ、腕時計時代に入ってロレックスなどが挑んだ偉大な成果が自動巻きです。
<9-12>論理の方法(小室直樹)
どんなに有能な人でもすべての仕事はしない。どんなに無能な人にもやる仕事は残る。
<9-13>迷ったら二つとも買え!(島地勝彦)
一般的に無駄遣いや浪費を人生の大罪と思っている人が多くいるようだが、人生の大罪はむしろ無知と退屈ではないだろうか。
<9-14>組織科学の話(山田雄一)
機能別に職能の専門化が進むと、地位の上位者が必ず下位者に指示命令できない状況が出現します。
<9-15>できる人できない人(安田佳生)
仕事ができる人にはいくつかの共通点があるが、「スピード」という要素は、その中でもとくに重要なもののひとつといえるだろう「仕事ができる人=仕事が速い人」と置き換えても、言いすぎではない。逆に、「仕事が遅い」といわれたら、それは「仕事ができない」といわれているに等しい。
<9-16>ネイティブはこの「5単語」で会話する(晴山陽一)
英語には「核になる少数の単語」がある、ということなのだ。あるデータによれば、日常会話の60%はたった100単語で占められている、ということである。
<9-17>中国人を理解しないで生きていけない日本人(孔健)
現在「共産党第5世代」と呼ばれる若い世代の李克強と習近平に注目が集まっている。読者諸君も胡錦濤後の中国をウォッチするならば、この名前は覚えておいた方がいい。私が見るところ改革派の胡錦濤は習近平に政治の民主化を託して共産党の主席に据え、政府国務院のトップに李克強という布陣の体制を考えているのではないかと思う。もしそういうことになれば、日中関係はあまり進展しないかもしれない。胡錦濤は親日だったが、習近平は父親の習仲勲が抗日戦争を前線で戦ったせいか、日本に対して友好的な人物ではない。
<9-18>腐った組織をどうやって救うのか(丸瀬遼)
役員や部長が直接担当者から必要な情報を聞き、議論すればよいと思うだろう。だが、それをする経営者は意外なほど少ないのだ。理由は二つある。一つは、これをやると中間管理職の存在意義がなくなってしまうからである。本来、柔軟で機動的な判断が求められる業務では中間管理職などいらないはずだ。だが、担当者から始まって中間管理職を経て経営者になるというステップを一段一段登って偉くなってきた人たちには、中間管理職を飛ばしたり廃止したりするなどということは思いつかないし、たとえ思いついたとしても組織の秩序を破壊してしまう恐れから実行に移せない。二つ目の理由は、もっと単純で人間的なものだ。自分の無知をさらしたくないのである。
<9-19>ジャンボ機長の状況判断術(坂井優基)
パイロットは、天候の悪い時にはスムーズな着陸をしません。スムーズにつけようとすると、タイヤが地面につく場所が滑走路の中ほどになります。そうすると止まるために残された滑走路が短くなります。またスムーズに着陸すると翼の上に出て空気抵抗を増すスポイラーが素早く立ちません。エンジンの逆噴射も始動するのが遅くなります。
<9-20>飲んでも太らない秘密の習慣(伊達友美)
人間は、心と体の欲求にしたがって食べ、生きています。体が栄養で満たされていないと、心も不安定になり、必要以上のものを求めてしまいます。逆に言えば、心を栄養で満たせば、無茶な食行動に走ることはないはずなのです。
<9-21>グルメの嘘(友里征耶)
30万部刷ったのにかなりの部数が売れ残っていると言われている、「ミシュラン・ガイド東京2009」。上陸2年目で、早くも大きな挫折を味わったはずなのですが、新体制を構成する人々の辞書には、反省や一時退却といった文字はなかったようです。掲載拒否の連続で誰もが発売しないと予想した京都版ですが、悔し紛れというかプライドを維持するためか、拒否されても載せる戦略に転換しました。しかし写真がないのでページが稼げない。予算がないので調査員を増員して掲載店を増やすことも難しいことから、オマケに大阪を入れてしまいました。
<9-22>道上洋三のないしょ話(道上洋三)
歌でも浪曲でも文章でも何でもいいんですが、とにかく極めたいんです。しかし、極めても一般の人たちに分からなければ何にもなりません。「高きを極めて俗に帰るべし」という芭蕉の言葉があるように、ぼくは極めたものを、普通に暮らす人たちに分かってもらいたい。それが、「お客様は神様です」ということなんです。
<9-23>農民も土も水も悲惨な中国農業(高橋五郎)
国民一人当たりの耕作面積はアメリカの十分の一以下でしかない。それでいて、13億の民(アメリカは3億人)の食を支えなければならないのだから、いかに中国の農業が実際の力以上に無理をしているかが分かろう。
<9-24>何とか会社を変えてやろう(柴田昌治)
経営者が表面的な問題しか見ていないような会社、特に人のやる気に対する優先順位が低い会社は、今うまくいっていても、必ず経時劣化していくと思いますから、きわめて危険な状態であると私は判断します。
<9-25>謝罪の作法(増沢隆太)
「爆発するような怒り」のパワーは、怒っている相手自身の体力も大きく消耗します。筆者の経験上、20分以上怒り続けることは限りなく難しいと思います。電話に出た途端に怒鳴り散らすような人でも、30分以上怒鳴っていることはまれで、まして直接の面談であれば、15分、20分と怒鳴り続けられることはほとんどありません。その怒りのエネルギーが落ち始めるまでは、「申し訳ありません」というお詫びの言葉以外はできるだけ控えて、ひたすら相手の主張を聞くことに徹しなければなりません。