131.プレッシャーさん

 毎年1月2、3日は朝から箱根駅伝に釘付けである。関西ではそれほど人気はないが関東では相当なものである。毎年これを見ないことには正月気分が出ない。1日に社会人駅伝があるのであるが、これをもって正月とするにはちょっと気分が乗り切れない。2日くらいになると、ようやく正月気分を受け入れられる精神状態になってくる。

 箱根駅伝では、多くの学生がタスキに期待と名誉を掛けて力走する。しかし、毎年のように数名が実力を発揮できず、順位を落とすのを目にする。何もこの晴れ舞台で、このようなことが起きなくてもいいのではないか? と思ってしまうのであるが、これはどうしようもない。おそらくこの結果をずーと引きずることになるのではないだろうか。翌年に再度チャレンジできる人はいいが、そのまま卒業という場合は悔いが残るだろう。

 箱根駅伝に関しては、マスコミが密着取材のようなことをやっているのをよく見かける。きつい練習を連日のようにやり、夏には集中合宿で鍛え上げる。練習のし過ぎでケガや体調を崩す場合もある。ここまで鍛え上げていながら、本番当日には思ったような記録が出せない。何とかならないものだろうか。

 こんなことを考えている時、かつてのオリンピックでのブラックユーモア(?)を思い出した。実況中継を見ていたおばあさんが「プレッシャーさんは強いね。日本選手はみんなプレッシャーさんに負けてしまう」(プレッシャーを外国人の人名と勘違いしている)。最近では海外チームへの移籍や国際大会が多くなり、かつてほどのプレッシャーは感じなくはなっているが・・・。それでもまだまだプレッシャーにより、実力を発揮できない場合を見かける。水泳選手はプールで何時間も泳ぎ、マラソン選手は何キロを走る。それぞれの専門種目の練習を限りなくこなす。身体を極限まで追い込んでいる。そうすることで自信を持つことができ、大会で負けない精神力を養うのである。

 うーん、どうもこの辺りに問題がありそうな気がする。世界のトップを目指すようなレベルを精神力や根性で乗り切れるものだろうか。肉体面は毎日限界に近いところまで鍛えているにもかかわらず、精神面は全く野放し状態であるように感じる。精神面をコントロールできるような訓練というのはないのだろうか。どんな大舞台になっても、常に平常心でいられるようにならないものだろうか。そうすれば食事や睡眠も通常通りでき、試合に対しても実力を十分に発揮することができるだろう。

 「心・技・体」と書いてみてはっとした。「体・技・心」ではないのである。