128.思うこと

 いろいろあったが、コロナが一応落ち着いてきた。矛盾したことも多かった中で、その最たるものがテレビではなかっただろうか。スタジオではアナウンサーやコメンテーターが一定の間隔を取り、その間にアクリルの板が設置されていた。直接飛沫がかからないといえばかからないかもしれないが、これをいいことに喋り・笑い・激論を交わしている。一応対策を取っているので、これに関しては目をつぶってもいい。そんな中、ところどころで中継の映像が入る。田んぼや原っぱの真ん中で、マスクをかけたリポーターがひとり原稿を読み上げている。どこから? 誰が? どうやってコロナウイルスが飛んでくるのか? そこまでやるなら、ここでも両サイドにアクリル板を設置してほしかった。やっている側も見ている側も、何の意味があるのかなと思って見ているに違いない。

 ロケの中継に移動式のカメラを担いでいる人がいる。多くのテレビ番組の中でロケ用に移動式のテレビカメラが使用されている。通常は映す側なのでその姿は映らないが、時としてロケ現場全体が映ることがある。その時決まってカメラマンは後ろ向きに歩いている。出演者が前を向いて歩いていれば、それを映す側は当然後ろ向きとなる。その後ろ向きの人が障害物で転倒しないように、さらにそのカメラマンを補助する人がいる。当たり前のようで何かおかしくないだろうか。映像を映し出すテレビでは4Kという言葉を聞いて久しい。最近では8Kも聞くようになった。これだけ進歩しているにもかかわらず、その映像を提供するカメラを2人がかりで後ろ向きに歩きながら撮影している。

 潜水艦が水中にいれば水上の景色は見えない。それを見るために潜望鏡がある。これをのぞけば水中にいながら水上の景色がいとも簡単に見える。ぐるっと回せば360度すべて見える。これと同じようにできないものだろうか。映像を90度に2回屈折させれば後ろが見えると思うのだが・・・。素人は簡単に物事を考えてしまうが、技術的にはどうなのだろうか。今もってそのようなカメラを見ていないということは非現実的なことなのだろうか。今の技術をもってすれば簡単にできそうな気がするのだが。通常の使い方から、後ろを撮影するときはコの字型のアダプターを取り付ける。これで安心して前を向いて歩きながら後ろを撮影できると思うのだが。

 1日も早くこのようなアダプターができることを願っている。AIが世間を騒がせている時代に、後ろ向きに歩きながら撮影をする姿は似合わない。いや、そうではなくこうすることで、AI真っ盛りの世の中になっても生き残る職業にするためなのかもしれない。