122.個人情報

 最近ニュースでハッカーが企業内のPCに入り込み、内部に保存されていた情報を盗み出すというのをよく耳にする。盗まれた情報の詳細は定かではないが、一般的に言われているのは企業が集めた個人情報である。住所、年齢、名前等である。個人情報といってもたいしたことはないといえばそれまでであるが、使い方によっては非常に怖いものである。

 PCがネットにつながっている限り、この危険性から逃れることはできない。情報の保管の仕方、アクセスできる人間の管理等を含めて、もっと真剣に対応することが望まれる。というように、他人に関しては非常に厳しく対応するのであるが、自分のこととなると全くのゆるゆるである。ウイルスバスターを入れ、データは毎月バックアップを取っているとはいえ、これで大丈夫というものでもない。その他で個人情報が盗まれるようなことはないだろうか? じっくりと考えてみた。

 ??? とんでもなく大きなものを見落としていた。表札である。戸建て住宅で表札を掲げていない家を見たことがない(アパートでは部屋番号のみで、名前がない場合がほとんどである)。これをみれば、住所と名前がはっきりとわかる。家の造りまで見れば収入もわかるかもしれない。表札に苗字だけでなく、家族全員の名前まで書いてある場合がある。郵便屋さんは助かるかもしれないが、相当な個人情報の開示である。地域によっては空き地に看板を立て、地域全体の地図に氏名が入ったものもある。敷地面積もかなり正確に表現されている。空き巣が下見をするのに最適かもしれない。

 TVでは豪邸や個人宅のお宅拝見のようにして、間取りがはっきりとわかるようなことをやっている。また、改造の前と後といったようなことも同様に間取りがはっきりとわかってしまう。空き巣に入る予定のある人に手引きをしているようなものである。これらに関しては、「個人情報の漏洩だ!」といったような声は聞かない。

 個人の危機管理がこの程度なので、国や企業に関しても同程度におおらかなのかもしれない。個人情報は盗まれると問題だが、自分から開示するのは問題ないと思っているのである。そもそも個人情報というものは、世間に開示するものではない、という基本がわかっていないのである。

 とはいえ、玄関の門柱にはめ込んだ表札を外す気はない。これを外すと空き家と間違われ、狙われること間違いないからである。それだけ日本においては、表札という個人情報は開示することになっているのである。この個人情報を使って、大量の料理を発注しないようにお願いしたい。