121.外車

 最近車で近所を走っていると外車を見かけることが多くなった。外車という言い方自体が相当古いように思うが・・・。輸入車という言い方が正解かもしれない。かつては輸入車といえば、「ベンツ」「フォルクスワーゲン」「BMW」といったところが一般的であった。最近では、これらはもちろんのこと「アウディー」「フィアット」「ミニ」「ボルボ」「ポルシェ」「シトロエン」「ジープ」「アルファロメオ」「ジャガー」等、多種多様である。いつごろから増えだしたのかは定かではないが、相当頻繁に見かける。日本車の質が落ちたとは思えないが、輸入車が多いのである。

 輸入車=高級車というイメージがあるので、今でも手を出しづらい。金銭的なこと以上に生活環境が引っかかる。豪邸に住み、広々とした駐車場があれば似合いそうであるが、何分かつてはウサギ小屋と称され、小さな駐車場があるだけでは似合いそうにない。ベンツでは幅も長さも入らない。入ったとしてもボンネットの一部が公道に出るだろう。車は近所へ買い物に出かける程度の使用であるから、国産の大衆車で十分なのである。これでも十分すぎるくらいの装備が備わっている。取説は読み切れないし、読んでも理解できないことの方が多い。

 わが家の横の道は車が1台通れる程度の幅しかない。にもかかわらず一方通行ではない。ここを輸入車が通る。こんな狭い道を通らなくても、もっと幅の広い道路があるのにと思うのであるが、渋滞を避けたいらしい。高級車に乗っていても精神的には貧しいのかもしれない。もっとゆったりと王道を走ってもらいたいものである。

 かつての外車というのは、欧米の高級車というイメージがあったのでそれを引き継いだのか、輸入車にも同じイメージが付きまとっている。輸入車といって、「中国」「韓国」「インド」の車をイメージできないし、街中でも見かけることはほとんどない。そもそも輸入されているのかどうかも知らないし、調べる気にもならない。

 やはり輸入車というのは高級でかっこいいというのが売りなのだろう。人は見た目がすべてというわけではないが、その見た目のひとつに車を加えようとしているのかもしれない。見た目ですぐにわかるステイタスとして輸入車があるように思う。

 ところで、かつての外車といわれる車はすべて左ハンドルであった。何といってもこれが外車のステイタスであった。中には日本車でありながら左ハンドルの車があった。逆輸入車といわれ、これもステイタスであった。現在の輸入車はすべて右ハンドルである。つまり日本仕様なのである。これはもう外見的には日本車としてみてもいいのではないだろうか。

 ステイタスの一部が欠けてもやはり輸入車がいいのだろうか。違いは車の正面に付けられたエンブレムだけである。