3.保管

 ロードレーサーは通常の自転車と違い、庭に置きっ放しというわけにはいかない。やはりそれなりの保管場所を確保する必要がある。単身赴任時代は、部屋の片隅へ置き、同居状態であった。一度、サイクリングの帰り道で大雨に遭い、ずぶぬれで帰ったことがある。その時は、自分自身もロードレーサーもそのままでは部屋に上がることができなかった。玄関で大まかな水分をふき取った後タオルを取りに行き、それで自身とロードレーサーをきれいに拭いてから上がった。やはり、同居は大変である。自転車専用の置き場所がほしいと真剣に思った。

 人間は拭けばそれでおしまいであるが、ロードレーサーはそうはいかない。摺動部分やチェーンなどは、グリスが流れてしまっているので給脂してやらなければならない。乾燥させた後、しっかりと手入れをしなければならない。昔の自転車と違って、フレームや部品にはカーボンやアルミニウムが多く使われている。しかし、費用や強度、加工のし易さの面で、まだまだ鉄が多く使われている。鉄はご存知ように最もさびやすい金属である。塗装やメッキのはがれた部分はすぐにさびてしまう。そこをケアしてやらなければならない。身の周りを見渡しても、家電、自家用車、公共交通機関等、すべて主役は鉄である。要するにいまだに鉄器(?)時代なのである。鉄なくしては成り立たないのである。にもかかわらず、そのメンテナンスとなると無頓着なのである。

 では、その鉄器をどこに保管するか? これだけの大きさのものを保管するとなると、かなりのスペースを用意しなければならない。いろいろと場所を探してみたもののなかなかいい場所がない。物置に入れるにもロードレーサー2台となると相当大きなスペースが必要になる。ここはやはり発想を変えなければならない。ロードレーサーを走行状態で保管する必要はないのである。立てて上から吊るせば場所はかなり節約できる。では早速吊り下げ金具の製作である。タイヤのリムにあたる部分に傷がつかないように、S字に曲げた金属に布を巻けばそれで完成である。これで2台を天井からぶら下げればスペースはわずかで済む。通常、物置は床には多くのものを置くが、上部の空間はガラガラである。物を積み重ねると、下のものが取り出せないからである。ロードレーサーはうまい具合に天井から床まで、高さを最大限に利用できる。出し入れも簡単にできる。我ながら納得の保管方法である。

 ただ、歳を重ねるにしたがって、保管している時間が長くなりつつある。動力部分は塗装もメッキを剥がれ落ち、あちこちに錆が浮き出している。このあたりで全身をリフレッシュさせるような全塗装が必要かもしれない。