サスティナビリティ
家庭菜園をやっていると、四季それぞれでその旬の野菜や果物を手に入れることができる。これが最大の魅力である。この満足感を味わうためにやっているといってもいいくらいである。枝豆やトウモロコシのように鮮度の落ちやすいものから、カボチャやサツマイモのように、しばらく保存することで美味しさを増すものもある。イチゴやブルーベリーのように、ジャムにして保存することで美味しさを再確認するものもある。いろいろといいことづくめであるように見えるが、実際やってみるとそうではないことに気づく。キュウリやナスビが大量に収穫できた時はどう対応しようか? 栽培が終わった木やツルはどう処分しようか? といった問題が出てくる。わが菜園では、「収穫物はすべて消費する」「木やツルのような廃棄物はすべて土に返す」を基本にやっている。
野菜や果物の苗を植えるときは、収穫物の収量と時期を十分に把握したうえで、必要本数を決めて植え付ける。そうすることで、食べきれなくなることがないようにしている。収穫時期がずらせず、一気に収穫しなければならないようなものに対しては、その保存方法を考慮しなければならない。干し柿や干芋、ジャムなどがそれに該当する。
食べる方は上記のようにすれば十分に対応できる。その美味しい野菜や果物を提供してくれた木やツルはどうすればよいか。そのままではごみとして扱うしかない。しかし、わが菜園では、一切のごみを出さないことを目指している。栽培が終わった木やツルは自然乾燥させ、菜園の片隅に作った残渣置き場へ移動させる。糠と水をまきしっかりと踏み固める。その上にビニールシート被せ自然発酵させる。数年でいい腐葉土に変わる。出来上がれば適当に菜園内に散布することで土がわずかではあるが改善される。
この残渣置き場で腐葉土にできるのは、トマトやキュウリ、スイカ、サツマイモなどの茎が柔らかいものに限られる。ブドウやイチジクの枝はそう簡単に土に返らない。これらは別の処理の仕方をしなければならない。ブドウやイチジクは毎年の剪定でほとんどの枝を切り詰める。その切り落とした枝の量たるや相当なものである。これらは数年程度ではほとんど変化をすることはない。燃やせばダイオキシンが発生し、煙とともに近所迷惑となる。そこで考え付いたのがウッドチップである。本来のものとはかなり違うが、ものは見よう考えようである。そう思えばそのように見えてくるものである。幸いにも、ブドウやイチジクの枝は柔らかいので助かる。イチゴの敷き藁を切る時用に購入した押切が非常に役立つ。直径が3cmくらいまでの枝なら何とか切ることができる。最も量が多い1、2cmであれば、数本同時に切ることができる。1年分の剪定枝はあっという間にウッドチップに変身する。わが菜園の一角にあるブドウ棚の下に敷き詰めている。ここなら十分な時間が必要なものでも、その心配をすることなく変化を楽しむことができる。土に返ればよし、そのままでもよし。全く気を使うことなく過ごせるのがいい。
菜園から持ち出すものは「食する」ものだけで、その他のすべてはここへ返すのである。もちろん雑草も乾燥させた後、残渣置き場へ直行である。菜園内で悪さをした後は、菜園内の役に立ってもらうのである。
<ウッドチップ>
<剪定後のイチジク>
<剪定後のブドウ>
<残渣置き場>
<ただいま発酵中>