作業ズボンのポケット
夏の菜園作業はとにかく暑さとの戦いである。それだけでも大変なのに、手ごわい害虫、雑草がさらに追い打ちをかける。害虫や雑草は今日、明日に何とかしなければならない、というような問題ではない。特に雑草などは早く処理すると、また数週間後には同じ状態になり、作業の回数を増やすことになる。極力作業回数を減らし効率よく行うほうがいい。最終的には、種ができる前に確実に処分することで、翌年はほんの少し楽になるような気がする。あくまでも気がするだけであるが・・・。これらに比べると、暑さは対応が遅れると大変なことになる。こまめな水分の補給と、長時間日向に出ないことである。とはいっても、やりかけた作業は一気に終わらせてしまいたい。どうしてもここで無理をしてしまう。そして必要以上の汗をかき、必要以上の水を補給することになる。喉が渇きすぎると、飲んでも、飲んでも、渇きが癒えない。もうお腹がチャポンチャポンになっているにもかかわらずまだ喉が渇く。かなり危険な状態である。こんな時はノンアルコールビールがいい。何となくほっとし、渇きが癒えたような気がしてくるから不思議である。アルコールが入っていないにもかかわらずこれであるから、アルコールが入っていればさらに満足感が得られるのかもしれない。
さて作業が終わり、喉の渇きも癒えてくると次の作業が待ち受けている。上下びしょびしょに濡れた作業着の洗濯である。菜園用の洗濯機が庭に据え付けられているので、これで作業着とエプロン、タオル、帽子の洗濯である。汚れ具合、色物等は一切お構いなし。すべて同時に1回で終了させる。どんなに量が多くても1回である。とにかく1回が原則である。理由は2槽式の洗濯機のためである。何度も何度も水を入れたり止めたり抜いたりしなければならず、ずっと付きっきりになるのが嫌なのである。忘れて他の作業をしていると、すすぎ工程の終った作業着は、水の出っ放しになった水槽でわかめのようにゆらゆらとしている。
洗濯の終った作業着を干すのであるが、ここでどうにもこうにも納得のいかない現象が毎回起きる。それは、作業ズボンのポケットがすべて(4個所)飛び出しているのである(注1)。ズボンはそのままはける状態で裏返ることはないが、ポケットだけが飛び出してくるのである。なぜ飛び出すのか? あまりにも毎回飛び出すのでどの時点で飛び出すのかを確認してみた。洗濯を開始して5分後、早くも2カ所のポケットが飛び出した。さらに5分後、もう1カ所が飛び出し合計3カ所が飛び出した。最後の1カ所は洗濯時には飛び出さなかったが、ゆすぎ工程に入ってから飛び出した。これで4個所すべてが飛び出したことになる。
では、最初からすべて裏返して洗濯した場合はどうか? ズボンを裏返して、出ているポケットをすべて裏返す。つまり、裏返ったズボンをはける状態にポケットをする、ということである。この状態で洗濯すると、何と驚くことにポケットがすべて正常に戻った。もちろんズボンは裏返ったままである。このまま裏返ったズボンを戻せば正常に履けるのである。
これらの結果から、どのような状態であろうと、ズボンのポケットが裏返るということがわかった。分かったところで何の対策もできるわけではないのであるが、わかるということが大事なのである。これですっきりとした気分で洗濯ができる。・・・よくよく考えてみると、菜園内での作業中にいろいろなものをポケットに入れることがある。そうすると、ポケットの中も汚れることになる。さすがは作業ズボンである。ポケットが勝手に裏返って、汚れたポケット内が洗濯できるようになっているのである。何とも素晴らしいズボンであることに気がついた(これはあくまでも個人の感想です)。
注1:ポケットが飛び出すのはこの作業ズボンだけで他は飛び出さない。さらに謎が深まってしまった。