フキノトウ

 フキノトウと聞いて何を思い浮かべるだろう? 春の訪れ! であろうか。フキノトウは2月のまだ非常に寒い時期、落ち葉の間から黄緑色のぷっくりとしたつぼみをのぞかせる。間違いなく春が近づいていることを感じさせるのであるが、あくまでも頭の中だけで、体はまだまだ冬仕様である。食べる方では、天ぷらや佃煮がある。大人にしかわからないほんのりとした苦みが何ともいえない。むしろこちらのほうで、春を感じるのかもしれない。

 ところで、このフキノトウとはいったい何なのか? まずこの疑問を解消しなければ先へは進めない。そこでフキノトウについて調べてみた。「フキはキク科フキ属に属する多年草で、日本原産の野菜の一つである。地下茎で広がり、そのあちこちから葉を出している。さらに十分に太った地下茎の先端からフキノトウが出てくる。つまりフキの花ということになる」 出たては小さなかわいいコロンとしたつぼみであるが、中には小さな花が集まり凝縮され花束のような形になっている。こここまでは非常にかわいらしく、愛くるしささえ感じる。このような姿は現物や写真で見る機会が多く、一般的にいわれているフキノトウである。しかし、この先を知っている人はどれくらいいるであろうか。それを知るために、かわいらしいフキノトウをそのまま放置しておいた。すると、背丈がどんどん伸び、凝縮した花束は大輪の打ち上げ花火のように広がってきた。もうこうなると美しさもかわいらしさも感じない。あのほろ苦い早春の面影は全く見当たらない。その背丈は何と70cmにもなった。「フキノトウには雄花と雌花があり、雌花だけが背丈を延ばす」らしい。ということでこの写真の花は雌花ということになる。このままさらにしばらく放置しておくとどうなるか・・・。

 通常、葉物野菜は可食部分を収穫せずに放置しておくと、その中心部より花を咲かせるための茎が延びてくる。これをとう立ちという。そしてその先端に花が咲き実をつける。家庭菜園では葉物野菜の最終形態を見ることはほとんどない。理由は、それら(ハクサイ、キャベツ、ホウレンソウ、コマツナ、ミズナ、シュンギク等)が食べごろになった時にすべて収穫してしまうからである。

 4月に入ると花はさらに開き、綿毛がふわふわとしだした。その後、タンポポの種と同様に、綿毛が風を受けて飛んで行った。その先でまた地下茎を張り巡らし勢力を拡大するのだろう。わが菜園では、フキ畑以外での繁殖を認めていないので、他の場所で発芽した場合はすべてここへ連行することになっている。最近はフキ畑の仕切りを越えて地下茎を伸ばし、菜園内へ進出する輩が後を絶たない。地上ではなく、地下に壁を作る必要がありそうである。

<コンチハ!>

 

<まるで別物>

 

<一斉に開花>

 

<タンポポではありません>