90.冷え性
とんでもなく暑がりで汗かきである。そしてとんでもなく冷え性である。こう書くと非常に矛盾しているように思われるかもしれない。しかし、これは紛れもない事実である。まず、暑がりで汗かきの件を記述してみよう。夏の日中に歩こうものなら、背中や胸から汗がしたたり落ち、それらをシャツが吸収しきれずベルト部分で止まる。これが続くとどうなるか? ズボンのベルト部分に汗が染みだし、色が変わってしまう。したがって、夏でも薄手のジャケットやベストを着て、この部分を隠す必要がある。夏であるから、汗をかいてもそこそこは大目に見てもらえる。問題は冬である。ラーメンやなべ物など極端に暑いものを食べるときである。わずかな暖房でも、一気に汗が噴き出す。ラーメンやうどんを食べるときは、コップに半分くらいの冷水を入れる。これで人並みにすすって食べることができるのである。それでも食べ終わると厚めのハンカチが必要となる。さらに、扇子でパタパタとしなければ汗が止まらない。当然周りは異様な目でこちらを見る。最近ではこの視線はほとんど気にならなくなった。慣れとは恐ろしいものである。
続いて冷え性の件である。体中は暑くて汗をかくにもかかわらず、手足の先は驚くほど冷たい。特に冬などは痛みを感じるくらい冷たくなる。靴用カイロは必需品である。出かける前に足を十分に温めてからでないと、冷えた足ではなかなかカイロの温度が上がってこない。足用は使い捨てということもあり、昨今の世の中の流れに逆行しており、気が引けることこの上ない。せめて手だけでもと思い、ベンジン使用のカイロにしている。サステイナブルではあるが、ベンジンが燃焼している以上二酸化炭素は出ているのかもしれない。こう考えると、こちらも時流に逆行しているか? しかし、これらがないと活動できない体質なのである。これはお許し願いたいところである。
冬になると、指の先の皮膚がはがれてガサガサになり、服やズボンに触れると繊維が引っかかる。まるでやすりでこすっているような感覚になる。この対策に、いろいろなハンドクリームを試した。しかし結果はすべて同じ。全く効果がない。一部剥がれた皮膚がくっつくわけではないため、どうにも修復できないのである。このような状態で毎年過ごしていた冬であるが、今年は異変が起きた。ものすごく素晴らしいハンドクリームを見つけたのである。その名を「白色ワセリン」という。調べてみると、スキンケアや化粧品の多くに使われていることが分かった。指の皮膚を修復するというよりは、保湿効果で皮膚のはがれを防いでくれているようである。寝る前に、手全体(指先はちょっと多め)に塗り、手袋をはめて寝る。全くガサガサすることなく、ツルッツルの指で過ごせている。冬でも唯一快適な気分にさせてくれるありがたい妙薬である。と、思われたのもつかの間、寒さが厳しくなり、水を使う作業が多くなると効果のほどが薄れてきた。結局、このガサガサを取り除く方法はただ一つ。削り取るしかないのである。サンドペーパーのやや細かめのもの(#600)で表面を軽くこするのである。あまり強くこすりすぎると、皮膚が破れ出血することになるから要注意である。薄っすらと削ったつもりでも、指紋はほとんどなくなってしまう。
・・・、最近何かに脳のしわを削り取られているのではないかと疑うときがある。長年かけて作った脳のしわがツルッツルになっているのではないかと思うときがある。固有名詞が出てこない。物をどこへ置いたか思い出せない、等々・・・・。
PS:素晴らしいハンドクリームを見つけた。ある日女房が「このハンドクリームいいよ」と手渡してくれた。『ニュートロジーナ(フランス製)』、角層10層の奥まで浸透し、内側にうるおいを溜めます、となっていた。今までの経験から、大きくは期待せず塗ってみたところ、素晴らしい効果をもたらした。指先がまったくガサガサしないのである。今冬はこれで乗り切れそうである。