18.マスク
かつて、マスクは風邪をひいたときに、他人への感染を予防するために着けていた。したがって、マスクをしていると、「風邪をひいているので近寄らないで!」ということが暗黙の了解事項としてあった。しかし、現在では、このルールがほとんど当てはまらない。あまりにも風邪以外でマスクを着けている人が多いからである。真夏でも着けている。今のマスクは3次元で装着しやすくなってはいるが、どうもあのカラス天狗のような形状にはいまだに若干の抵抗がある。
子どもの頃に使っていたマスクは、ガーゼを数枚重ねたもので、性能としてはそれほどいいものではなかったのだろうが、保湿・保温性はよかった。特に冬などは寒さ対策にはうってつけであった。現在のマスクは、ペラペラの不織布で見た目が頼りない。しかし、細菌や微粒子の透過率に関してはかなり高性能な数字が表示されている。いくら材質が高性能でも、装着の仕方如何でまったく効果を発揮しない場合がある。蛇腹状のものを広げて使用するタイプのマスクを、そのまま平らな状態で使用している人を見かける。顔に全く密着していない。隙間だらけである。これでは口にかまぼこ板を当てているのと同じである。マスクはどんなに顔に密着させても、やはりいくらかの隙間ができる。特に鼻の部分である。冬の寒い朝などはメガネが曇ってどうにもならない。この隙間がある限り、いくら不織布の性能が上がっても、マスクそのものの性能はそれほど向上しないだろう。とは言っても、朝の通勤ラッシュ帯の車中で、くしゃみを連発されるとそのありがたさがよくわかる。なんとなく、マスクをしているので風邪をうつされることはないだろう、という変な安心感が出てくるからである。
最近、マスクを着けている女性がやたらに多いような気がする。花粉症かとも思ったが、一年中見かけるので、どうやらそうではないような気がする。伊達マスク? かも知れない。もし伊達マスクだとすれば、台湾のようにもっと派手にやってもらいたい。中途半端である。マスクに絵を描くとか、丸や三角のマスクを着けてもらいたい。ただし、マスクをする女性には十分な覚悟をしてもらいたい。理由は、マスクを着けている女性で美人を見たことがないからである。本当は美人であろうと思われる人でも、そう見えないのである。マスクの代わりにサングラスをかけている場合はどうか? すべてが美人に見えるのである。ゲレンデや海岸で、サングラスをかけた女性のすべてが美人に見えるのがいい例である。顔の上を隠すか下を隠すかで、これほど変わるものなのだろうか? 「夜目・遠目・傘の内」とはよく言われるが、この例からすると、正確には「夜目・遠目・傘の内・サングラス」が正解だろう。マスクはこれに逆行する行為である。もし、伊達マスクをすることで安心感が得られるとするならば、それははっきりとわかるカツラをつけて何とも思わないオヤジと同じような安心感に見える。
このようにマスクにはいろいろな思いが込められている。そこで、どうしても提案したいことがある。それはマスクの色分けである。風邪等の感染症で、他人に移る可能性のある人は「赤色のマスク」、花粉やPM2.5を防御するために使用している人は「黄色のマスク」、何となく安心感を得るためや伊達にしている人は「緑色のマスク」といった具合である。この程度の個人情報は開示してもらいたいと思うが、いかがなものだろうか?